コンテナから貨物を降ろす作業であるデバンニングは、一見単純に見えますが、安全かつ効率的に行うためには、様々な知識とスキルが必要となります。
本記事では、デバンニング作業の定義と役割、作業の流れ、難易度、安全・効率的な作業のポイント、役立つ資格について詳しく解説します。
デバンニングとは?
物流業界で耳にすることの多い「デバンニング」とは、海外などから運ばれてきたコンテナの貨物を取り出す作業のことです。スムーズなデバンニングは、物流工程の最適化につながります。
定義と役割
デバンニングとは、コンテナに詰められた貨物を荷降ろしし、仕分け・検品を行う作業を指します。英語では “devanning” と表記され、”unloading” とほぼ同じ意味で使われます。
デバンニングは、輸出入貨物の輸送における重要な工程の一つであり、スムーズな物流を実現するために欠かせません。デバンニング作業は複数人で行われることが多く、フォークリストなどの機械を使用することもあります。
バンニングとの違い
デバンニングと対になる作業として、バンニングがあります。
バンニングとは、貨物をコンテナに詰め込む作業を指します。
デバンニングは荷降ろしと仕分け・検品が主な作業内容であるのに対し、バンニングは貨物の梱包方法や積み込み順序などを考慮する必要があります。
デバンニング・バンニングは、物流の中で欠かせない業務のひとつです。
デバンニング作業の流れ
デバンニング作業は、コンテナから荷物を安全かつ効率的に取り出す作業です。大きく以下の4つのステップに分けられます。
デバンニング作業の4つのステップ ①準備 ②荷降ろし ③仕分け・検品 ④後片付け |
それではこの4つのステップについて詳しく見ていきましょう。
準備
デバンニング作業を開始する前に、以下の準備を行います。
①コンテナの確認
到着したコンテナが正しいものであることを確認します。コンテナ番号、封印番号、送り先などを照らし合わせます。
②作業スペースの確保
コンテナの周囲に十分な作業スペースを確保します。荷物の搬出経路を確保して安全に作業できる環境を整えます。
③必要な設備の準備
フォークリフト、パレット、荷役台、安全装備など作業に必要な設備を準備します。
④作業員の配置
作業内容に応じて必要な人数の作業員を配置します。経験豊富な作業員をリーダーとし、作業を指揮します。
荷降ろし
作業の準備が整ったらいよいよ荷降ろしを開始します。
・コンテナの扉を開け、異常が無いことを確認してからフォークリフトなどを用いてコンテナから貨物を降ろします。
・貨物の状態を確認し、破損や汚損がないか記録します。・荷降ろしの際に荷物を破損しないように、注意が必要です。
仕分け・検品
荷降ろしした荷物を仕分け・検品します。
①仕分け
荷降ろしされた貨物を、送り先や品目ごとに仕分けます。仕分けの際はミスを防ぐために明確なルールに基づいて作業を行います。
②検品
納品書と照らし合わせて、数量や内容を検品します。検品の際に異常があれば、速やかに関係者に連絡します。
後片付け
最後に作業スペースを清掃し、安全な状態に戻します。
・荷降ろし後のコンテナ内や作業スペースを清掃し、ゴミや残留物を取り除きます。
・コンテナ内に荷物や忘れ物がないことを確認します。
・使用した資材を整理整頓します。
デバンニング作業の難易度
デバンニング作業は、単純な作業に見えますが、体力的な負担、精神的な負担、季節による影響など、様々な要素が難易度を左右するため、「きつい」と感じる人が多いです。
デバンニングの難易度の原因 ●体力的な負担 ●精神的な負担 ●季節による影響 |
デバンニング作業が「きつい」と言われてしまう原因がこの部分になってきます。
体力的な負担
デバンニング作業は、体力に自信がない人にとっては負担が大きくなってしまいます。
●重たい貨物の荷降ろし
コンテナからの重たい貨物の荷降ろしは、体力的な負担が大きくなります。特に、重量物の場合は複数人で協力して作業する必要があります。
●長時間の立ち仕事
荷物の仕分けや検品作業は、長時間立ちっぱなしで行うため、腰や足への負担が大きくなります。また、単純作業の繰り返しで、精神的に疲れてしまう人もいるようです。
精神的な負担
大切な荷物を扱うデバンニング。集中力や責任感が必要です。
●正確な作業を行うための集中力が必要
貨物の仕分けや検品には、正確性と集中力が必要となります。特に、送り先や品目を間違えると、大きなトラブルに繋がる可能性があります。
●時間内に作業を完了するための責任感
納期に追われるプレッシャーは、精神的な負担となります。作業計画を立てて、効率的に作業を進めることが重要です。
季節による影響
屋外で行われるデバンニング作業。どうしても季節や天候に左右されることがあります。
●夏の暑さによる熱中症のリスク
水分補給や休憩をこまめに取るなど、熱中症対策を徹底する必要があります。
●冬の寒さによる体調不良のリスク
防寒対策をしっかり行い、体調管理に注意する必要があります。
また、雨天の場合は作業が中断になる場合もあります。これらの要素に加えて、作業員個人の経験やスキル、作業環境によって難易度は変わってきます。
デバンニング作業の負担を軽減するには?
きつい作業だと思われがちなデバンニング。改善策を講じることで作業の負担を軽減することが可能です。
①体力的な負担の軽減
・荷物の重量制限を設ける
・自動化設備を導入する
・作業員の休憩時間を十分にとる
・作業環境を改善する
・作業員の健康維持・体力トレーニングをサポート
・人材育成を行い、作業不足を解消する
②精神的な負担の軽減
・作業手順を明確化
・マニュアル化する
・ダブルチェック体制を導入する
・安全教育、メンタルヘルスサポートの提供
・作業員同士のコミュニケーションの促進
・適切な報酬を与える
③季節による影響への対策
・暑さ対策(水分補給・休憩・クールダウン)を徹底する
・寒さ対策(防寒具・暖房)をする
・雨天時の作業手順の明確にする
デバンニング作業を安全かつ効率的に行うためのポイント
デバンニング作業は、体力的な負担や精神的な負担が大きい一方で、物流業界における重要な役割を担っています。安全かつ効率的に作業を行うためには、ポイントがいくつかあります。
安全装備の着用
・ヘルメットは頭部を保護するため。
・安全帯は高所作業時の墜落を防ぐため。
・安全靴は足を保護し、滑りにくくするため。
・安全手袋は手を保護するため。
チームワーク
・作業リーダーを決め、指示系統を明確にする。
・作業員同士で役割分担を行い、協力して作業を行う。
・作業前にミーティングを行い、情報共有を行う。
コミュニケーション
・作業員同士、また関係者とのコミュニケーションを密にすることで、スムーズな作業進行を実現できます。
・関係者との連絡を密にし、問題が発生した場合は速やかに報告する。
事前準備
・作業手順書を作成し、作業内容を明確にする。
・必要資材を事前に準備しておく。
・作業スペースを確保し、動線を確保する。
機械の活用
・フォークリフト 重い貨物の荷降ろしに使用する。
・クレーン 大型の貨物の荷降ろしに使用する。
・コンテナリフト コンテナを移動させるのに使用する。
デバンニングの作業頻度が多い場合は、安全に作業ができるアイテムを揃えたり、しっかりとしたルールやマニュアルを策定することが重要になります。
デバンニング作業に役立つ資格
デバンニングを安全かつ効率的に行うためには、様々な知識とスキルが必要です。そこで、デバンニング作業に役立つ資格をご紹介します。
フォークリフト運転技能講習修了証
コンテナから荷物を降ろすには、フォークリフトが必須です。フォークリフトを安全に運転するためには、フォークリフト運転技能講習を受講し、修了証を取得する必要があります。
クレーン運転技能講習
クレーンを安全に運転するために必要な資格です。
危険物取扱者乙種
コンテナの中には、危険物が含まれている場合があります。危険物を安全に取り扱うためには、危険物取扱者乙種の資格が必要です。
まとめ
デバンニング作業は、体力的な負担や精神的な負担が大きい一方で、物流業界における重要な役割を担っています。安全装備を着用し、チームワークを意識して作業を行うことで、安全かつ効率的に作業を進めることができます。
そして、デバンニング作業は、様々な知識とスキルが必要な専門性の高い仕事です。
資格を取得することで、安全に効率的に作業を行い、就職・転職にも有利になります。
デバンニング作業員を目指す方は、ぜひ資格取得を目指しましょう。
💡最後にデバンニング作業の魅力をお伝えします!
デバンニング作業の魅力 ●物流の重要な役割を担っているという責任感 ●チームワークで作業する達成感●様々なスキルを身に付けられる |
デバンニング作業は、決して楽な仕事ではありません。
しかし、改善策によって負担を軽減し、多くの人が魅力を感じられる仕事にすることができます。
物流業界の発展のためにも、デバンニング作業に興味を持ってくれる人が増えることを願っています。
デバンニングの仕事は、一見単純作業に見えますが、安全かつ効率的に行うためには、様々な知識とスキルが必要とされる専門性の高い仕事であると感じました。そして、物流業界における重要な役割を担っており、スムーズなデバンニング作業は、物流全体の効率化に貢献します。