物流業界では、運輸と運送という言葉が混同されがちです。
意味は似ていますが、実は微妙なニュアンスの違いがあります。
どちらも物流業界における重要な役割を担っており
職業や業務を表す言葉としてよく使われるふたつの言葉の違いについて
本記事では「運送」と「運輸」の基本的な定義から、その違いをわかりやすく解説します。
普段何気なく使っている言葉の裏に隠された専門的な知識を、一緒に学んでいきましょう。
運送と運輸の基本定義
物流業界に「運送」と「運輸」という言葉、ふたつはどのような違いがあるのでしょうか？
運送と運輸の意味と特徴
運送
車両を用いて人や貨物を運ぶことを指します。船舶や飛行機などの輸送手段は含まれません。
運輸
人や貨物をあらゆる交通手段で運ぶことを指します。
具体的には、自動車・トラック・鉄道・船舶・飛行機など人がかかわること全てに該当します。
つまり、運送は運輸の中に含まれた言葉です。
運輸業と運送業の違い
・運輸業
あらゆる交通手段を用いて人や貨物を運び、
長距離輸送や広範囲にわたる輸送を担うことが多い事業です。
・運送業
自動車またはトラックを用いて人や貨物を運びぶ宅配業や路線バスなどが該当します。
運輸と運送は、どちらも人や貨物を運ぶことを意味する言葉ですが
運輸はあらゆる交通手段を指し、運送は自動車またはトラックに限定されます。
運輸業と運送業も、どちらも人や貨物を運ぶ事業ですが
運輸業は長距離・広範囲の輸送を担うことが多いです。
適用される法律の違い
運送
運送業に必要な許認可運送業を始めるには、
一般貨物自動車運送事業の許可を取得することが求められる
貨物自動車運送事業法に基づく許可が必要な業種です。
運輸
運輸業には、安全運転に関する道路運送法や労働基準法など、多岐にわたる法規制が絡みます。
これらの法規制を遵守することで、効率的で安全な運輸サービスが提供されます。
運送業の仕事内容
運送とは、人や貨物を運ぶことを指しますが、
一般的には宅配業者やトラック運送業者などが自動車やトラックを使って
お客様から預かった荷物を指定の場所に運ぶことを主な業務としています。
運送業者が行う作業には、荷物の運搬だけでなく倉庫内での仕分け作業なども含まれます。
彼らは、目に見えないところで、お客様から預かった荷物を正確に指定の場所まで運ぶために
多くの作業を行っています。
運送業者が取り扱う荷物
運送業者は、顧客のニーズに合わせてさまざまな荷物を運んでくれます。
・一般貨物: 食品・衣料品・雑貨など、身の回りのさまざまな商品
・精密機器: パソコン・スマートフォンなどの電子機器
・危険物: 発火性・爆発性のある物、劇物など
・貴重品: 貴金属・現金・美術品など
・ペット: 犬、猫などの動物
・引っ越し荷物: 家具・家電・衣類など
このように、運送業者は幅広い種類の荷物を扱っています。
運輸業の仕事内容
運輸業者の業務内容は、交通手段の多様化に伴い多岐にわたります。
水運業・航空運輸業・鉄道業・郵便業など荷物を運搬する業種全般が運輸業に含まれます。
さらに、人を運ぶ業種も加わるため運搬に関するサービス業も運輸業に含まれます。
運輸業の職種
それでは、直接人や貨物などを運ぶ以外の運輸業の職種をいくつかご紹介します。
管理業
運輸業界での管理業の仕事は、依頼主から預かった荷物などの運搬スケジュールを決め
届先に納品するまでの商品保管や在庫管理などを行うことです。
管理業にも、物流管理・配送管理・在庫管理などがあり
運輸に関わる人員のシフトを管理しなければならないこともあります。
技術職
運輸業界での技術職の仕事は、物流に関わるシステム開発を行うことです。
近年では運輸業界にもAIの導入が盛んに行われていることから
ITエンジニアを求める業者が急増しています。
荷役
トラックや船・飛行機への積み下ろしをするのが荷受けの仕事です。
倉庫へ貨物を移動させて荷物の仕分けを行うこともありますが
現在では重機やフォークリフトなど便利な機械を使用できるので
以前よりも肉体労働的な要素は低くなっています。
流通加工
運ばれてきた荷物に付加価値をつけるための加工作業が、流通加工の業務内容です。
具体的には、バラバラに運ばれてきた商品パーツを倉庫などで組み立てて完成品として
出荷する作業を行います。
商品の組み立ては、荷物を受け取る小売店などが行うケースも多いですが、
運輸業者が代行することも少なくありません。
自動車などの大型の商品は、完成品で出荷することにより物流コストが高額なることから
分解して運ばれるケースがほとんどです。
まとめ
この記事では、「運送」と「運輸」という言葉の違いについて解説してきました。
ポイントは以下の3つです。
・運送は自動車・トラックを用いた輸送、運輸はあらゆる交通手段を用いた輸送
・運輸業は長距離・広範囲の輸送を担うことが多い
・運送業には貨物自動車運送事業法に基づく許可が必要
一見、似ている言葉に見えますが、実はニュアンスの違いがあることが理解できたと思います。
物流業界で活躍するためには、運送と運輸の違いを正しく理解することが重要です。
今回紹介した内容を参考に、更なる知識を深め、物流業界への知識を深めましょう。
この記事では、「運送」と「運輸」という物流業界の基礎用語について解説しました。執筆前は、正直なところ、私もこの2つの言葉はほぼ同じ意味だと思っていました。しかし、取材や調査を進める中で、奥深い違いがあることに気づきました。今回得た知識を活かして、物流業界のさらなる深掘り記事を書いていきたいです。
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