トラック運賃が、2024年6月から平均8%値上げされることが国土交通省から発表されました。
これは、2018年に導入された「標準的運賃」制度に基づくもので、燃料高騰や人手不足などの課題解決を目的としています。
国土交通省において、昨年8月より「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、
同年12月、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表しています。
この値上げは、荷主や消費者にとってどのような影響があるのでしょうか?
この記事では、値上げの背景、内容、影響について詳しく解説します。
値上げの背景
トラック運賃値上げの背景には、主に以下の3つの要因があります。
①燃料高騰
近年、原油価格の高騰により、燃料費が大幅に上昇しています。燃料費はトラック運賃の重要な要素であり、値上げの主な要因となっています。
②人手不足
深刻化するドライバー不足により、人件費も上昇傾向にあります。ドライバー不足は、運送能力の低下を招き、運賃上昇に拍車をかけています。
③2024年問題
2024年から時間外労働の上限規制が強化されることに伴い、ドライバーの労働時間が短縮され、運送能力が低下する懸念があります。
これらの課題を解決するため、国土交通省は標準的運賃制度の見直しを行い、今回の値上げを決定しました。
値上げの内容
今回の値上げは、以下の3つの柱に基づいています。
荷主への適正な転嫁
◎運賃水準:平均8%の値上げ
◎荷待ち・荷役等の対価:荷待ち・荷役作業の対価として、新たに「積込料・取卸料」を設定
◎下請け手数料:下請け運送事業者への手数料として、「下請け手数料」を新たに設定
多重下請構造の是正
◎下請け手数料の利用を促進
多様な運賃・料金設定
◎荷主との個別契約に基づいて運賃を設定する「個建運賃」の利用を促進
◎リードタイムが短い運送の際の「速達割増」や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定
これらの措置により、荷主は適正な運賃を支払うことになり、
トラック運送事業者は正当な対価を得ることが可能になります。
値上げの影響
トラック運賃8%値上げは、荷主、消費者、そしてトラック運送業界全体に様々な影響を与えることが予想されます。
荷主への影響
◎運送コストが上昇し、商品価格への転嫁などが懸念されます。
◎荷主は、運送コスト削減に向けた取り組みを強化する必要が生じます。
消費者への影響
◎商品価格の上昇につながる可能性があります。
◎消費者にとっては、家計への負担増加が懸念されます。
トラック運送業界への影響
◎運賃収入の増加により、事業の安定化が期待されます。
◎しかし、値上げ幅が大きすぎる場合、荷主離れや需要減退につながるリスクも伴います。
関係各所は、値上げの影響を最小限に抑えつつ、持続可能な物流体制を構築していくことが求められます。
商品価格の上昇につながる可能性
具体的な影響としては、以下のようなものが考えられます。
- 食料品の値上げ
- トラック運賃は、食料品の流通にも大きく影響します。値上げにより、野菜、肉、魚などの食料品価格が上昇する可能性があります。
- 日用品の値上げ
- 日用品も、トラック運賃によって輸送コストが左右されます。
値上げにより、トイレットペーパー、洗剤、シャンプーなどの日用品価格が上昇する可能性があります。
- 日用品も、トラック運賃によって輸送コストが左右されます。
- 家具・家電の値上げ
- 家具や家電も、トラック運賃によって輸送コストが左右されます。値上げにより、家具や家電の価格が上昇する可能性があります。
これらの値上げは、家計に大きな負担となることが予想されます。
消費者としては、以下の対策を検討することができます。
- 節約
- 食費や日用品などの出費を見直し、節約できるものは節約する。
- まとめ買い
- 必要なものをまとめ買いすることで、送料を抑える。
- 格安店やネット通販の利用
- 格安店やネット通販を利用することで、商品を安く購入できる可能性がある。
政府としても、消費者の負担軽減に向けて、以下の対策を検討する必要があります。
- 低所得者への支援
- 低所得者に対して、生活費支援や食料支援などの支援を行う。
- 物価上昇抑制策
- 物価上昇抑制策を講じ、商品価格の上昇を抑える。
トラック運賃値上げは、物流業界全体に大きな影響を与えるとともに、消費者にとっても大きな負担となります。
関係各所は、協力してこの課題に取り組んでいくことが重要です。
まとめ
トラック運賃8%値上げは、物流業界にとって大きな転換点となる可能性があります。
関係各所は、この値上げを契機に、物流業界全体の効率化と持続可能な発展に向けて取り組んでいくことが重要です。
消費者にとっても、この値上げは商品価格の上昇につながる可能性があります。値上げの影響を最小限に抑えるためには、節約や格安店・ネット通販の利用などの対策を検討することができます。
政府としても、低所得者への支援や物価上昇抑制策など、消費者負担軽減に向けた対策を検討する必要があります。物流業界全体、そして消費者にとって、この値上げが大きな課題となることは間違いありません。
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関係各所が協力して取り組むことで、この課題を乗り越え、より良い物流環境を構築していくことが可能であると信じています。
今後も、この問題に関する最新情報に注目していきたいと思います。