消防法や国連勧告に基づいた、危険物の種類や分類、SDS、梱包方法、輸入時の注意点、安全対策などをわかりやすく解説します。

海上輸送と航空輸送における違いや、4Gカートンについても説明。
安全に危険物を取り扱うためのポイントをまとめました。事業者や従事者の方はぜひ参考にしてください。

危険物を取り扱う際には、常に安全性を第一に考え、適切な対策を講じるようにしましょう。

消防法上の危険物の分類

危険物とおもわれる様々な瓶が並んでいる画像

 一般に、危険物は「消防法」によって規定されています。この法律では、工業用品や農薬、試薬などの中で特に毒性の高い物質は、「毒物及び劇物取締法」で毒物や劇物として指定されています。

消防法では、以下の6つのカテゴリーに危険物が分類されており、これらは主に次のような物質を含んでいます。

危険物の分類表

分類名称代表的な物質性質危険性具体例
第1類 酸化性固体塩素酸カリウム、硝酸アンモニウム他の物質を酸化させる火災、爆発塩素酸カリウムと砂糖の混合物
第2類可燃性固体硫黄、マグネシウム燃えやすい火災木材、紙、布
第3類自然発火性物質及び禁水性物質リチウム(黄りん)、水素化ナトリウム水と反応して発火する火災、爆発リチウム電池、水素化ナトリウム
第4類引火性液体第一石油類、アルコール類、動植物性油引火しやすい火災ガソリン、灯油、アルコール、オリーブ油
第5類自己反応性物質過酸化ベンゾイル、ジアゾジニトロフェノール熱や衝撃で分解して爆発する爆発過酸化ベンゾイル
第6類酸化性液体過酸化水素、硝酸他の物質を酸化させる火災、爆発過酸化水素、硝酸

国際輸送上の危険物

地球儀を持つ手が左にあり、右に輸送上の9つの危険物と書かれた画像

 一般に、国際的な危険物の輸送に関しては、国連が「危険物の輸送に関する国連勧告」を制定しています。この勧告により、危険物は9つのカテゴリーに分類され、これらの分類に一致する物質は国際的な輸送上で危険物として扱われます。

分類名称代表的な物質
1.火薬類爆発物ダイナマイト、花火
2.ガス類高圧ガスプロパンガス、酸素、塩素
3.引火性液体引火性液体ガソリン、灯油、アルコール
4.水と接触すると引火性ガスを発生する物質可燃性物質類木材、紙、布
5.酸化性物質および有機酸化物酸化性物質塩素酸カリウム、硝酸アンモニウム
6.毒物および病毒を移しやすい物質毒物類青酸カリ、シアン化物
7.放射性物質放射性物質等ウラン、プルトニウム
8.腐食性物質腐食性物質塩酸、硫酸、苛性ソーダ
9.環境有害物質を含むその他の有害物質および物品その他の有害物件リチウム電池、ドライアイス

危険物の分類は、その性質に基づいて行われています。危険物の性質や危険性は、物質によって異なります。危険物の取り扱いには、法令や規則に基づいた安全対策が必要です。

物質の特性に応じて、複数のカテゴリーに属する場合があります。このような場合、それぞれのカテゴリーに対する適切な手順が定められています。

危険品に該当する物質がどの分類にあたるのかを調べるためには、その物質の化学物質等安全データシート(Material Safety Data Sheet:SDS)を取り寄せて記載内容を確認します。

化学物質等安全データシートとは

リストが載っているグラフィックデザインの画像

 化学物質等安全データシート(SDS)とは、化学物質及び化学物質を含む製品を他の事業者に譲渡または提供する際に、その化学物質の性状や取り扱いに関する情報を提供するための文書です。

SDSは、化学物質を安全に取り扱い、災害を未然に防止することを目的として、労働安全衛生法及び消防法に基づき作成・交付が義務付けられています。

SDSに記載される情報

 SDSには、以下の16項目の情報が記載されます。

1.化学品及び会社情報
2.危険有害性情報の要約
3.組成及び成分の情報
4.応急措置
5.火災時の措置
6.漏洩時措置
7.取扱い及び保管方法
8.ばく露防止及び保護措置
9.物理化学的性質
10.安定性及び反応性
11.有害性情報
12.環境影響情報
13.廃棄上の注意
14.輸送上の注意
15.適用法令
16.その他の情報

SDSの利用方法

 SDSは、化学物質を安全に取り扱うために、以下の目的に利用されます。

・危険性・有害性の確認
・応急措置の手順の確認
・取扱い方法及び保管方法の確認
・漏洩時の対応方法の確認
・個人保護具の選定
・廃棄方法の確認

SDSの入手方法

 SDSは、化学物質の製造業者、輸入業者、販売業者から入手することができます。

危険品の梱包方法

危険物が入っているドラム缶4つが写っている画像

 海上輸送と航空輸送では異なる規定が適用される場合があります。危険物の梱包においては、国連の規格に合致した容器を使用しなければなりません。

項目海上輸送航空輸送
適用される規定海上危険物輸送規則(IMDGコード)国際航空運送協会(IATA)危険物規則
容器国連規格に合致したもの国連規格に合致したもの
容器の種類ドラム、ジェリカン、木箱、ダンボール箱、バッグなどドラム、ジェリカン、木箱、ダンボール箱など
容器の試験国連基準に合格したもの国連基準に合格したもの
ダンボール箱4Gカートンと呼ばれる4Gカートンと呼ばれる
ダンボール箱の購入事前に製造されたものを購入事前に製造されたものを購入
ラベル内容物に合わせてラベルを貼付内容物に合わせてラベルを貼付
最小寸法小さい内容物を梱包する場合、隙間が生じる場合がある小さい内容物を梱包する場合、隙間が生じる場合がある

 海上輸送と航空輸送では、危険物の分類や梱包方法など、異なる規定が適用される場合があります。危険物の梱包には、国連規格に合致した容器を使用する必要があります。

・4Gカートンと呼ばれるダンボール箱は、危険物用のダンボール箱です。
・危険物の梱包には、内容物に合わせてラベルを貼付する必要があります。
・小さい内容物を4Gカートンに梱包する場合、箱の最小寸法によって隙間が生じる場合があります。

ただし、この種の箱は事前に製造されており、内容物に合わせて購入することになります。しかし、箱には危険物のラベルを貼付する必要があるため、小さい内容物を梱包する際には、箱の最小寸法によって隙間が生じる場合があります。

まとめ

危険物を乗せたトラックの後ろ姿の画像

危険物は、日常生活や産業活動において様々な場面で使用されています。しかし、その性質によっては、爆発、火災、中毒など、人や環境に重大な被害を与える可能性があります。

ですが危険物は、社会にとって必要不可欠な存在です。しかし、その危険性を理解し、適切な対策を講じることで、安全に取り扱うことができます。
この記事を参考に、危険物に関する知識を深め、安全な取り扱いを実践してください。

筆者の感想 

グローバル社会になり、個人間での国内輸送や海外輸送ができる便利な時代となりました。
そのため、たくさんの方々が航空便、船便を使用するため大切な誰かへの荷物です。皆様が安全にルールを守り利用していくことで利便性が高まれているのだと実感しました。

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