ECサイトの普及や高齢化社会の進展により、物流業界はかつてないほど活発化しています。

その一方で、荷物の紛失や破損といった課題も浮き彫りになっています。
こうした課題を解決するのが、荷物に貼られている注意書きシールの存在です。

「われもの注意」や「上積み厳禁」など、あなたも目にした事があるのではないでしょうか?

この記事では注意書きシールの種類や役割、選び方や貼り方などを詳しく解説します。

荷物に注意書きを添える理由

段ボールがたくさん積んである画像

 段ボール箱は運搬に便利な反面、中身が見えないため、適切な取り扱いが難しいという課題があります。
そこで、注意書きを添えることで、荷物の性質や扱い方を明確に伝えることができます。

注意書きを添えることで・・・
●荷物の内容を正確に伝え、誤った取り扱いを防ぐ
●壊れやすい物や精密機器など、丁寧な扱いを必要とする荷物を安全に運ぶ
●運送業者や配送スタッフの作業効率を向上させる
●荷物の紛失や盗難を防ぐ
●送り主と受け取り主の安心感につながる
このようなメリットがあります!

注意書きシールの種類と役割

注意書きシールの種類と役割

 注意書きシールは、荷物の種類や配送方法に合わせて、様々な種類があります。ここでは、代表的な注意書きシールについて詳しく見てみましょう。

上積み厳禁

 「上積み厳禁」は、他の荷物を荷物の上に積み上げないように促す指示です。

例えば、パソコンやガラス製の花瓶など、重量物を積み上げると壊れる可能性がある荷物には特に適しています。
※ただし、上積みを避けたからといって荷物が完全に安全とは限りません。

パソコンやガラスなどの壊れやすい品物には、段ボールに緩衝材を追加したり、発送時に正確な内容を記載するなど、追加の対策が必要です。

横倒厳禁

 「横倒厳禁」は、運搬中に荷物を傾けないようにするための警告です。

トラックなどに荷物を積む際に、段ボールの大きさによっては隙間を埋めるために横に積むことがあります。傾けるとこぼれてしまう・壊れてしまう可能性がある荷物の場合は「横倒厳禁」のシールを必ず表示しましょう。

例えば、液体や植物など横に積むと漏れる可能性がある荷物に必要です。

水濡れ厳禁

 「水漏れ厳禁」とは、荷物の輸送中に水濡れを厳禁することを指示します。

水濡れによって荷物が破損したり、汚損したりする可能性があるため、配送業者に注意を促すために用いられます。

天地無用

 「天地無用」とは、荷物が上下逆さまにされないようにするための警告です。

小さな品物や割れやすい食器などを段ボールに詰めている場合、逆さまになることで壊れる可能性があるため、この注意書きを表示する必要があります。

精密機械注意

 「精密機械注意」とは、荷物の輸送中に衝撃や振動を与えないよう指示します。

精密機械は衝撃や振動に弱いため、丁寧な取り扱いを促すために用いられます。

その他

 その他に、危険物、貴重品、冷凍・冷蔵品など、特別な取扱が必要な荷物には、専用のシールを貼付しましょう。

内容物表示シール
●荷物の内容物を明記します。
●荷物の紛失や誤配送を防ぐ効果があります。
●税関検査などが必要な場合に役立ちます。
送り先・送り主情報シール
●荷物の送り先と送り主の情報を記載します。
●伝票と合わせて貼付することで、情報伝達を確実化します。
●万が一、荷物が紛失した場合でも、追跡しやすくなります。

注意書きシールの選び方

「?」を背景に頭に手を置き悩んでいるような男性の後ろ姿

 注意書きシールを効果的に活用するためには、荷物の種類や配送方法に合わせて適切なものを選ぶことが大切です。

◎取扱注意シール: 
荷物の種類や重量、形状に合ったものを選びます。
・例えば、精密機械の場合は「精密機械注意」シール、ガラス製品の場合は「割れ物注意」シールなどを貼付します。

◎内容物表示シール: 
内容物が正確かつ簡潔に記載されていることを確認します。
・誤解を招くような表現は避け、必要最小限の情報に留めます。

◎送り先・送り主情報シール: 
住所、氏名、電話番号などが正確に記載されていることを確認します。
・郵便番号も忘れずに記載します。

注意書きシールの貼り方

小口段ボールを2つ持っている配送員の男性

 注意書きシールは、目立つ場所にしっかりと貼りましょう。

☑伝票と一緒に貼付する☑荷物の側面や上面に貼付する
☑雨や汚れに強い素材のシールを使用する
☑複数のシールを使用する場合、重ね貼りせず並べて貼る

注意書きシールに関する最新情報

黒い背景に英語のブロックのようなもので「NEW」と書かれている画像

 近年、注意書きシールは単なる情報伝達ツールを超え、物流業界の未来を大きく変革する可能性を秘めた技術へと進化しています。
従来の注意書きシールを超えた、3つの革新的な技術と、それらが描く未来像をご紹介します。

QRコード:荷物の詳細情報を瞬時に表示

 QRコードをシールに印刷することで、荷物の追跡や詳細情報閲覧を可能にする技術

QRコードは、Quick Response(クイック・レスポンス)の略称で、デンソーウェーブが開発した二次元コードです。

★活用例QRコードは、様々な分野で活用されています。
Webサイトへの誘導: チラシやポスターなどにQRコードを印刷することで、スマートフォンで簡単にWebサイトにアクセスできます。
商品情報の表示: 商品パッケージにQRコードを印刷することで、消費者はスマートフォンで商品情報を確認できます。
電子マネー: QRコードを電子マネーとして利用できます。
名刺: 名刺にQRコードを印刷することで、相手はスマートフォンで簡単に連絡先情報を保存できます。
その他: アンケート、クーポン、チケット、イベント情報など

ICタグ: リアルタイムな位置情報と温度管理で安全性を向上

 ICタグをシールに埋め込むことで、荷物の位置情報や温度などをリアルタイムで管理する技術

ICタグとは、Radio Frequency Identification(無線自動識別)の略称で、電波を利用して情報を送受信する小型の電子タグです。

★活用例ICタグは、様々な分野で活用されています。
・物流: 荷物の追跡、倉庫管理、配送管理
・小売: 商品管理、在庫管理、セルフレジ
・製造: 製品トレーサビリティ、品質管理、生産管理
・医療: 医療機器管理、患者管理、医薬品管理
・その他: ペット管理、図書館管理、イベント入場管理

RFID: 荷物の追跡を自動化

 RFIDタグをシールに埋め込むことで、自動化された荷物管理を実現する技術これらの技術は、配送における安全性や効率性をさらに向上させることが期待されています。

まとめ

配送員がお客さんに荷物を3個手渡しで渡す画像

 配送における注意シールは、小さな存在ながら、荷物の安全かつ迅速な配送を実現するために、非常に重要な役割を果たします。

荷物の種類や配送方法に合わせて適切な注意シールを選び、正しく貼付することで、配送の安全性と効率性を向上させ、顧客満足度向上に貢献することができます。

筆者の感想

これまで、注意シールは単なる形式的なものだと考えていました。しかし、注意シールが荷物の紛失や破損を防ぎ、配送時間を短縮し、顧客満足度向上に貢献する重要なツールであることを改めて認識しました。