現代社会において、物流は重要な役割を担っています。日々膨大な量の荷物が運ばれ、私たちの生活を支えています。

荷物を運ぶ方法は様々ですが、注目を集めているのが利用運送事業と呼ばれるサービスです。利用運送事業とは、荷主と運送事業者の間に立って、荷物の運送を一括で手配する事業です。

利用運送事業は、荷主、運送事業者、利用運送事業者それぞれにとって、様々なメリットをもたらします。この記事では、利用運送事業の仕組みや種類、トラック運送業との違いなどをわかりやすく解説します。

利用運送事業とは?

指で数字を作り、1・荷主、2・運送事業者、3・利用事業者と書かれている画像

 利用運送事業とは、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主から依頼を受けて、自社の運送手段を持たずに、他の運送事業者を利用して貨物の運送を行う事業です。

具体的には、荷主から荷物を受け取り、最適な運送手段を選定し、運送契約を締結、運送状況の管理、荷物の引渡しまでを行います。

利用運送事業には主に3者の関係者が存在します。
①荷物を運送したい人・・・荷主
②実際に荷物を運ぶ人・・・運送事業者
③荷主と運送事業者の間に立って、荷物の運送を手配する人・・・利用運送事業者

利用運送事業者は、荷主と運送事業者の間に立って、ニーズに合った運送手段の選定や荷物の運送状況の管理などの役割を果たします。

利用運送事業の仕組み

 利用運送事業は、荷主と運送事業者を繋ぐ仲介役のような役割を果たします。

利用運送事業の仕組みは以下の通りです。
①荷主は、利用運送事業者に荷物の運送を依頼
②利用運送事業者は、荷主のニーズに合った運送手段を選び、運送業者に依頼
③運送業者は、利用運送事業者の指示に従って、荷物を運送
④荷主は、利用運送事業者に運賃を支払う

利用運送事業の種類

コンテナを積んだ船2艘と飛行機や鳥が飛んでいる画像

 利用運送事業は、大きく第一種と第二種に分類されます。それぞれの違いを理解する事で荷物の運送をより効率的に行うことができるでしょう。

①第一種貨物利用運送事業
 トラック、船舶、航空機、鉄道など、様々な運送手段を組み合わせて、荷物を運送する事業です。荷主から荷物を預かり、最適な運送手段を選んで、配達先まで届けます。
②第二種貨物利用運送事業
 第一種貨物利用運送事業に加えて、集荷配達も一貫して行う事業です。荷主の倉庫から荷物を集荷し、幹線輸送(海運、航空、鉄道)で運搬し、配達先の倉庫まで届けます。
荷主の希望する出発地→納品地までの一連の運送を行う「ドア・トゥー・ドア」の運送サービスを提供します。

上記2つの事業を比べると、手続きの方法に違いがあります。

第一種貨物利用運送事業・・・登録制

 第一種をはじめるには、必要事項を記載した登録申請書を提出し、国土交通省の行う登録を受ける必要があります。

第二種貨物利用運送事業・・・許可制

 第二種をはじめるには、必要事項を記載した申請書類を提出し、国土交通省による許可を受ける必要があります。

利用運送事業に関する情報は国土交通省のホームページでご確認ください。

トラック運送業と貨物利用運送事業の違いは?

トラックが2台並んでおり間に「$」マークがある。その下に掌にコインを載せている写真がある画像

 トラック運送業と貨物利用運送業は、どちらも荷物の運送に関わる事業ですが、事業形態が大きく異なります。

トラック運送業は、自社のトラックで荷主の依頼を受けて運送を行い、運賃を受け取る事業です。一方、貨物利用運送業は、自社でトラックを持たず、荷主の依頼を受けて他の運送会社に運送を依頼して利用運賃を受け取る事業です。

ざっくりいうと、「自社でトラック(輸送手段)を所有しているのか?いないのか?」「運送は自社で行うのか?他社に依頼するのか?」といった違いがあります。

どちらを選ぶべき?

 どちらの事業形態を選ぶべきかは、事業規模や経営戦略によって異なります。

初期費用を抑え、小規模で始めたい場合は、貨物利用運送業がおすすめです。利益率を重視し、自社で運送をコントロールしたい場合は、トラック運送業がおすすめです。

利用運送事業のメリット

「MERIT」と書かれた積み木のような置物の上にトラック3台置かれている画像

 利用運送事業は、荷主、運送事業者、利用運送事業者それぞれにとって様々なメリットをもたらします。どんなメリットがあるのでしょうか?見てみましょう。

荷主にとってのメリット

 利用運送事業を利用する荷主にとってのメリットは以下の通りです。

①ニーズに合った最適な運送手段が選択できる
②管理や手配などコストの削減が可能
③運送業者とのやり取りなど、煩雑な手続きを省略

運送事業者にとってのメリット

 利用運送事業と連携する運送事業者にとってのメリットは以下の通りです。

①利用運送時御者を通じて新たな受注機会の増加
②閑散期でも依頼を受けることによって、効率的な車両運用が期待できる

利用運送事業者にとってのメリット

 最後に利用運送事業者にとってのメリットは以下の通りです。

①自社で所有できない車両や設備を活用し、多様な運送手段を提供
②様々な種類の運送事業者とネットワークを構築し、幅広いニーズに対応可能
③荷主のニーズに合わせた運送プランを提案することで顧客満足度を向上できる

 利用運送事業は、荷主、運送事業者、利用運送事業者それぞれにとって、メリットをもたらす事業形態です。荷物の運送を検討している方は、ぜひ利用運送事業を活用することをおすすめします。

まとめ

港に、船・飛行機・コンテナなどが集まっている画像

 利用運送事業は、荷主・運送事業者・利用運送事業者のそれぞれにとってメリットをもたらします。

自社でトラックを持たない 利用運送事業者は、荷主のニーズに合わせた最適な運送手段を選び、運送業者に依頼することで、効率的な荷物運送を実現します。

利用運送事業は関係者全員にとってメリットがあるため、荷物の運送を検討している場合は、ぜひ利用をおすすめします。

利用運送事業は、今後も物流業界における重要な役割を担い、その存在感はますます大きくなっていくでしょう!

筆者の感想 

物流に関わる事業のひとつである「利用運送事業」。普段の生活ではなかなか耳にすることが無いこの言葉ですが、利用運送事業は物流業界で重要な存在であることが解りました!様々な関係者が協力し、荷物を効率的に運ぶ仕組みが興味深いですね。