物流の合理化が可能！物流バーコード

　近年、ECサイトの利用が急増し、海外からの商品購入も当たり前になった時代。モノの行き来がますます複雑化し、物流業界はかつてないほどの変化を迎えています。
そんな中、欠かせない存在になっているのが、物流バーコードです。

この記事では、物流バーコードがどのように物流を支えているのか、その仕組みや活用方法、そして未来展望について詳しく解説します。

バーコードとは？

　日常生活でなじみがあるのでわざわざ説明しなくても、と思われるかもしれませんが、バーコードとは、一連の黒い線と白いスペースで構成された記号です。

この記号には、商品名、製造元、ロット番号など、様々な情報がエンコードされています。
バーコードリーダーで読み取ることで、これらの情報を瞬時に取得することができます。

エンコードとは・・・「符号化」「暗号化」「圧縮」という意味があり、文字・画像・動画などの情報を「コンピュータが処理しやすい形式」「通信で伝送しやすい形式」等に変換すること。

　そんなバーコードといえば、スーパーのレジでピッと読み取るあのイメージが強いでしょう。しかし、物流バーコードは単なる識別コードではありません。

物流現場の商品をマーキングするバーコードのことは、コードと呼び、商品を特定するために使用されます。具体的には何が分かるのか、次の見出しで学んでいきましょう。

物流商品コードとは

　段ボール箱をよく見ると、バーコードが印刷されていることがあります。実は、このバーコードはただのバーコードではなく、物流商品コードと呼ばれる、物流業界で活躍するバーコードなのです。

物流商品コードは主に段ボールなどの包装箱にマーキングされたバーコードで、物流用としてJISで規格化されています（JIS-X0502）。

JISとは・・・日本産業規格（JIS＝Japanese Industrial Standardsの略）。日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のこと

物流商品コードをバーコードリーダーで読み取ると、段ボール箱の中に何が入っているのか、それが何個入っているのかが、瞬時に分かってしまいます。
そのため、物流商品バーコードを利用することによって「ピッキング」「仕分け」「検品」「在庫管理」「棚卸し」などの物流作業の合理化が可能になるのです。

従来のように手書きで伝票を書いたり、ひとつひとつ商品を確認をする必要がなくなるので、作業時間と人件費を大幅に削減することができます。

コードの種類

　物流業界では、商品の流れをスムーズに管理するために、様々な情報を把握して管理し、正確に取り扱う必要があります。そのため、バーコード検品が必要とされるようになりました。

物流現場で使用されるバーコードは、
①商品が入荷される際にすでに印刷されているもの
②自社で生成したもの
の2種類に分けられます。

① 商品が入荷される際にすでに印刷されているもの

　商品が入荷する際に、事前に製造業者やサプライチェーンの上流に位置する企業が、商品のパッケージにバーコードを印刷したり、物流プロセスを効率化するために梱包ラベルに表示されたバーコードです。これは「ソースマーキング」として知られています。

このバーコードには、これらが含まれます。

・JANコード　 ・ITFコード　 ・GS1-128　 ・QRコード　 ・輸入品バーコード

■JANコード
　このバーコードは「どの事業者の、どの商品か」を表す、世界共通の商品識別番号となっています。 これを例えばスーパーのレジの機械で読みとると、どこの事業者の何の商品が売れた、という記録が残り、在庫管理や売上管理をスムーズに行えるようになります。

■ITFコード
　「Interleaved 2 of 5」の略称であり、数字のみで構成された2種類のバーコード要素を交互に並べた形式のバーコードです。

このコードは数字のみを表現するため、主に工業製品や小売業界で使用され、在庫管理や商品追跡に利用されます。ITFコードは、高い読み取り精度とスキャン速度を提供し、多くの商品で広く採用されています。

■GS1-128
　AI（GS1アプリケーション識別子）に従って表したデータをコード128という国際規格の一次元シンボル（ISO/IEC15417）に表現したバーコードです。

数字のみを表現するJANシンボルやITFシンボルと異なり、アルファベットや記号も表現でき、複数のデータを連結できる可変長のバーコードです。

■QRコード
　Quick Responseの頭文字からとったもので、素早く読み取る・反応するという意味があります。工場や物流管理で部品やパーツの情報、配送先や配送方法、入出荷の登録等に利用されます。

また、日常でなじみのあるチラシやポスターにも、ホームページのURL情報を記録してスマホで詳細情報を見ることができたり、広告、マーケティング、支払いシステム、チケット、IDカードなど、さまざまな用途で利用されています。

■輸入品バーコード
　輸入品バーコードとは、海外から輸入された商品に付けられるバーコードのことです。通常、海外で製造された商品には、その国や地域で一般的なバーコード規格が使用されます。

輸入品バーコードは、商品が輸入される際に、輸入業者や販売業者によって追加されることがあります。これにより、商品が正確に識別され、国内の流通や販売プロセスで管理されることが容易になります。

②自社で生成したもの

　自社で発行されるバーコードは、商品が入荷される際に既存のバーコードが表示されていない場合や、表示されているバーコードに必要な情報が不足している場合に利用されます。このバーコードは、企業が独自に生成するものであり、「インストアマーキング」と呼ばれます。

自社で生成されるバーコードには、これらが含まれます。

・自社管理ラベルバーコード　 ・PDラベル　 ・SCMラベルバーコード

■自社管理ラベルバーコード
　自社管理ラベルバーコードとは、企業が自社の商品や在庫を管理するために、独自に発行するバーコードのことです。
通常、企業内での商品の識別や在庫管理を目的として、独自のバーコードを生成します。これにより、企業は自社内での商品の追跡や在庫管理を効率的に行うことができます。

■PDラベル
　PDラベルとは、「Product Description Label」の略称であり、商品の詳細情報を記載したラベルのことです。このラベルには、商品の名称、型番、仕様、製造日、有効期限、原産地などの情報が記載されています。

PDラベルは、商品の特性や安全性を示す重要な情報源として、製造業や小売業などで広く使用されています。

■SCMラベルバーコード
　SCMラベルバーコードとは、Supply Chain Management（サプライチェーン管理）の略称であり、物流や在庫管理などのサプライチェーン関連の業務において使用されるバーコードのことです。

このバーコードには、商品の識別情報や製造日、出荷先などの情報が含まれています。SCMラベルバーコードは、サプライチェーン全体の効率化や追跡性の向上を目的として導入され、物流業界や製造業界で広く利用されています。

バーコードが物流を合理化する理由

　物流バーコードが物流を合理化する理由についてお話していきます。

データ入力の効率化

　バーコードを使用すれば、商品情報を手動で入力する必要がなくなり、データ入力にかかる時間を大幅に削減することができます。人為的なミスも防ぐことができ、データの正確性も向上します。

ピッキング作業の迅速化

　バーコードリーダーで商品を読み取ることで、ピッキング作業を迅速かつ正確に行うことができます。倉庫内での迷走や誤ピッキングを減らし、作業効率を大幅に向上させることができます。

在庫管理の効率化

　バーコードを用いることで、商品の入出庫状況をリアルタイムで把握することができます。在庫過剰や欠品を防ぎ、最適な在庫レベルを維持することができます。

商品の履歴を追跡

　バーコードを使って商品の履歴を追跡することで、製造元から消費者に至るまでの流通経路を明確にすることができます。製品事故発生時の原因究明や偽造品の流出防止に役立ちます。

コスト削減

　バーコードを使用することで、人件費やオペレーションコストを削減することができます。さらに、在庫管理の効率化によって、在庫コストを抑えることも可能です。

バーコードの活用事例

・倉庫：商品の入出庫管理、ピッキング作業、棚卸し ・配送センター：荷物の仕分け、出荷作業 ・小売店：商品のスキャン、レジ業務 ・製造業：部品管理、生産管理

バーコードは、様々な物流シーンで活用されています。

物流バーコードの未来展望

　バーコード技術は、物流や小売業界に革命をもたらし、効率的な業務プロセスを実現するための重要なツールとして確立されました。しかしながら、技術の進化と共に、バーコードの未来展望も変化しています。

将来的には、バーコード技術はさらに革新され、より高度な機能や柔軟性を持つものへと進化するでしょう。以下に、バーコードの未来展望に関する予測を挙げてみます。

■拡張されたデータ収集
　現在のバーコードは、商品名や製造元などの基本的な情報を含んでいますが、将来的にはさらに多くの情報がバーコードにエンコードされるでしょう。

例えば、製品の持続可能性情報や生産経路など、消費者が関心を持つ情報が含まれることが想定されます。

■AIとの統合
　人工知能（AI）の技術が進歩するにつれて、バーコード読み取りシステムもAIと統合され、より高度な認識能力を持つようになるでしょう。

これにより、バーコードの読み取り精度が向上し、自動化された作業プロセスがさらに効率的になると期待されます。

■ブロックチェーンとの結合
　ブロックチェーンとは取引履歴を記録・管理する技術のことです。この技術は、製品の追跡性や透明性を向上させるための有望な手段として注目されています。

将来的には、バーコード技術とブロックチェーンが統合され、製品の履歴や取引記録が不可逆的に記録されることで、製品の信頼性や品質管理が向上するでしょう。

■デジタルツインとの連携
　デジタルツインとはモノや、場所、システムなどを、コンピュータ上でデジタルデータとして再現する技術です。バーコードによって物理的な製品がデジタル世界に結びつけられる「デジタルツイン」の概念が広まっています。

将来的には、バーコードによってリアルタイムのデータが製品と対応付けられ、製品のライフサイクル全体をデジタル上で追跡・管理することが可能になるでしょう。

まとめ

　バーコード技術は、物流業界や小売業界だけにとどまらず、製造業や農業など、さまざまな分野で活躍する可能性を秘めています。

　物流バーコードは、荷物の行き先や中身を瞬時に読み取ることで、物流の効率化に大きく貢献します。製品やサービスが原材料から最終消費者に届くまでの流れをスムーズに導いてくれるのです。

また、物流業界における合理化がさらに進むことにより、消費者にとっても大きなメリットをもたらします。

物流バーコードによる消費者にとってのメリット ◎注文した商品がより早く届く ◎誤配送が減り、安心して荷物を受け取ることができる ◎商品の配送状況をリアルタイムで確認できる

物流バーコードの存在は、私たちの生活をより便利で安心なものに変えてくれるでしょう！

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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