トラック運送事業において、安全運転と法令遵守は事業の存続と発展を左右する最重要課題です。
しかし、日常業務の忙しさに追われつい法令遵守がおろそかになりがちです。
法令違反は、重大な事故や多額の損失、
さらには事業停止のリスクを伴うだけでなく、企業イメージの悪化にもつながります。
本記事では、トラック運送事業者における法令遵守の重要性を再認識し、
具体的な防止対策とコンプライアンス強化のための施策について紹介します。
法令違反について
法令違反をしてしまうと、行政処分を受けることになることはもちろん
社会的にも大きな非難を負うことになってしまいます。
将来的なペナルティ回避のため、法令順守を徹底しましょう。
行政処分
トラック運送事業者が法令違反を犯した場合、国土交通省から営業停止や許可取消しなどの厳しい行政処分を受ける可能性があります。
主な対象となる法令違反は以下の通りです。
安全運転に関する違反
過積載※2022年5月13日に改正
過労運転
酒気帯び運転
速度超過
信号無視
不注意運転
労働基準法に関する違反
長時間労働
休憩時間の確保不足
割増賃金の支払い義務の怠り
車両管理に関する違反
点検整備の怠り
整備不良車両の運行
運行記録書の改ざん
その他
許可・免許の不正取得・偽造書類の使用・保険金の不正請求
行政処分は、違反の程度や頻度によって異なりますが、
悪質な違反者に対しては、営業停止処分や許可取消し処分が下される可能性が高くなります。
これらの処分は、事業の存続を脅かすだけでなく多額の損害賠償責任を負うことにもつながりかねません。
違反点と免許停止
トラックドライバーが交通違反を犯すと、違反点数が加算され、一定の点数に達すると免許停止になります。
違反点数の詳細
6点以上: 30日間の免許停止 11点以上: 60日間の免許停止 15点以上: 90日間の免許停止 25点: 免許取消 |
違反点数は、違反の種類や過去の違反歴によって異なります。
例えば、スピード違反や飲酒運転は点数が高い傾向があります。
免許停止処分を受けると、事業者側もドライバーの確保や業務の代替などに多大な負担を強いられます。
反則金
トラックドライバーの反則行為には、反則金が科されます。
反則金の金額は違反の種類や程度によって異なりますが、主な反則金は以下の通りです。
スピード違反: 3,000円~20,000円 信号無視: 18,000円 飲酒運転: 5万円~30万円 |
反則金は、ドライバー本人が負担することになりますが、
悪質な反則行為が繰り返されると会社全体の信用失墜にもつながりかねません。
違反防止対策
違反行為は、重大な事故や多額の損失さらには事業停止のリスクを伴うだけでなく、
企業イメージの悪化にもつながります。
このような事態を招かないためにも、日頃から効果的な違反防止対策を講じることが不可欠です。
事前点検の徹底
安全運転と法令遵守の第一歩は、出発前の車両点検を徹底することです。
点検項目は以下の通りです。
ブレーキ: 制動力、ブレーキパッドの残量、ブレーキオイルの状態 タイヤ: 空気圧、溝の深さ、傷や損傷の有無 灯火: ヘッドライト、テールライト、ウインカー、サイドミラーの点灯確認 積載状況: 積載重量、荷物の固定状態、積載物の飛び出しがないか 運行記録: 運行記録書の記入漏れがないか |
これらの点検項目をドライバー自らが毎日行い、
異常があれば整備士に報告する体制を構築することが重要です。
また、定期的な車両整備を行い常に安全な状態を維持することが求められます。
▼車両整備について詳細記事はこちら
ーーートラック運転手必見!定期点検で長寿命を実現する車両メンテナンスのコツーーー
(この記事を関連記事として挿入お願いします。)
教育とトレーニングの充実
教育とトレーニングでしっかり違反防止対策を行いましょう
法令遵守教育: 定期的に道路交通法や労働基準法などの法令を、研修で学び理解を深める 運転技術向上のためのトレーニング: 安全運転のための技術や知識を習得し、運転技能を向上させる 特に、近年問題視されている過積載や過労運転に関する指導を強化することが重要です。 シミュレーター研修: シミュレーターを用いて危険予知能力や適切な対応方法を身につける実習を行いましょう。 リスク教育: 違反行為のリスクやその重大性を理解させる教育も重要です。 具体的には、過去の事故事例や行政処分の内容などを紹介し、危機意識を高めることができます。 |
教育とトレーニングは、座学形式だけでなく実際に車両を用いた実技形式を取り入れることで
より効果的な学習が期待できます。
また、ドライバーの理解度やニーズに合わせて個別指導を取り入れることも有効です。
最新情報の収集と周知
トラック運送業界では、法令改正や規制変更が頻繁に行われています。
これらの最新情報を迅速に収集し、事業内容にどのように影響するかを判断することが重要です。
具体的には、国土交通省や全日本トラック協会のウェブサイトなどで情報収集を行い
関係する法令や規制を常に把握する必要があります。
また、社内報や研修会などで最新情報を従業員に周知し理解を深めるための取り組みも必要です。
特に、罰則強化や規制緩和など、事業に大きな影響を与える変更事項には注意が必要です。
必要に応じて、社内規定や業務手順の見直しを行うことも検討しましょう。
まとめ
トラック運送事業者にとって、法令遵守は経営上の義務であると同時に安全な職場環境を作り
顧客満足度を高め、企業価値を高めることにもつながります。
本記事の違反防止対策を参考にしていただき、自社の状況に合った取り組みを推進することで
法令違反のリスクを低減し、安全かつ持続可能な事業経営を実現しましょう。
今回の記事で法令違反をしてしまった際のリスクはとても大きいものだと理解できました。トラックに限らず車を運転するドライバーすべての人へ安全運転がとても大切なことだと周知できたら嬉しいです。