モノの流れを支える動脈！調達物流とは？

製造業において、製品を製造するためには原材料や部品を調達する必要があります。
この調達に関わる物流活動を指すのが「調達物流」です。

調達物流は、まさに製造業の動脈であり、製品製造の円滑化とコスト削減に欠かせない存在です。
しかし、調達物流は複雑で時間のかかる作業であり、多くの課題を抱えています。

本記事では、調達物流の概要、役割、業務内容、メリット・デメリット、最新技術、課題、
そして調達物流を成功させるポイントについて、解説します。

調達物流とは？
まとめ

調達物流とは？

　生産に必要な原材料や、資材をその仕入れ先から生産現場である工場へと
運び込むための物流活動のことを言います。原材料や、資材の調達元は海外もしくは国内になります。

調達物流は、原材料や部品の調達から生産現場への供給まで、モノの流れを円滑にするための物流活動です。
具体的には、以下の3つの役割を担っています。

必要な資材を調達する:
サプライヤーとの交渉、発注、購買、輸入など
調達した資材を管理する:
入庫、検品、保管、在庫管理など
必要なタイミングに生産現場へ供給する:
生産計画に基づき、必要な資材を必要な量だけ、必要なタイミングで供給します。

これらの役割を果たすために、調達物流では以下のような具体的な業務が行われます。

サプライヤー選定: 品質、価格、納期などを考慮して、最適なサプライヤーを選択します。
発注: サプライヤーに対して、必要な資材の量や納期などを指示します。
購買: サプライヤーとの価格交渉を行い、契約を締結します。
輸入: 海外から資材を輸入する場合、通関手続きや輸送手配を行います。
入庫: 資材を倉庫に受け取り、検品を行います。
保管: 資材を適切な環境で保管します。
在庫管理: 在庫状況を把握し、必要な資材を欠品しないよう管理します。
配送: 生産現場へ必要な資材を配送します。

サプライヤーとは？　　　商品やサービスを供給する人・企業のこと

調達物流・生産物流・販売物流がそれぞれ連携することで、製造販売を円滑に進められます。

物流を領域別に分類すると、
一般的には「調達物流」「社内物流」「販売物流」「回収物流」の４つとなります。

生産物流

　生産物流は、調達した資材や部品を工場内で必要な場所へ送り、生産ラインへ供給する物流活動です。
まるで工場内の血液のように、原材料から製品へと変化していく過程を支えます。

工場内搬送: 原材料や部品を倉庫から生産ラインへ、あるいはライン間で搬送します。
保管: 生産に必要な資材や部品を適切な場所に保管します。
在庫管理: 生産に必要な資材や部品の在庫状況を把握し、欠品を防ぎます。
ライン管理: 生産ラインの稼働状況を監視し、必要な資材や部品を供給します。
廃棄物処理: 生産過程で発生する廃棄物を適切に処理します。

販売物流

　販売物流は、製造された製品を倉庫から出荷し、消費者に届ける物流活動です。
まるで製品を届けるための神経伝達物質のように、消費者の手元に製品を正確かつ迅速に届けます。

出荷: 製造された製品を倉庫から出荷します。
配送: 製品を販売店や卸元、あるいは消費者へ配送します。
在庫管理: 販売に必要な製品の在庫状況を把握し、生産物流と同じく、欠品を防ぎます。
返品処理: 消費者から返品された製品を処理します。
顧客対応: 配送に関する問い合わせやクレームに対応します。

調達物流の重要性

　調達物流は、製造業にとって非常に重要な役割を果たしています。

◎コスト削減
　調達物流を効率化することで、原材料や部品の調達コストを削減

◎品質向上
　調達した資材を適切に管理することで、製品の品質向上に貢献

◎納期短縮
　必要な資材を必要なタイミングで供給することで、製品の納期短縮を実現

◎在庫削減
　在庫を最適なレベルに維持することで、在庫コストを削減

◎リスク管理
　サプライヤーリスクや品質リスクなどを適切に管理することで、事業リスクを低減

調達物流の課題

　調達物流は、複雑で時間のかかる作業であり、多くの課題を抱えています。
　主な課題は以下の通りです。

グローバル化: サプライチェーンがグローバル化しているため、調達物流の管理が複雑化しています。
情報量の増加: 製品やサプライヤーに関する情報量が増加しており、情報管理が難しくなっています。
リスク管理: サプライヤーリスクや品質リスクなど、様々なリスクを管理する必要があります。
人材不足: 調達物流に関する専門知識や経験を持つ人材が不足しています。
コスト削減: 調達コストを削減することが難しい場合があります。

　調達物流を成功させるためには、以下のポイントを意識しましょう

💡調達物流を成功させるポイント
長期的な視点に立って、サプライヤーとの戦略的な関係を構築する
ITを活用して、調達物流に関する情報を効率的に管理する
サプライヤーリスクや品質リスクなどを適切に管理する
調達物流に関する専門知識や経験を持つ人材を育成する
コスト削減を常に意識し、効率的な調達物流を実現する

まとめ

　調達物流は、製造業にとって非常に重要な役割を果たす活動です。
調達物流を効率化することで、コスト削減、品質向上、納期短縮、在庫削減、リスク管理など、
様々な効果が期待できます。
近年、AIやIoTなどの先端技術を活用した様々なソリューションが開発されており、
調達物流は今後もますます進化していくことが予想されます。
調達物流を成功させるためには、戦略的な調達、情報化、リスク管理、人材育成、コスト意識などが重要です。